不動産の共有問題を防ぐために「家族信託契約活用例③」
父と母が順次亡くなり,すべての財産が長男Aさんと次男Bさん,三男Cさんの3人の共有となっているところ,実家不動産にはAさん家族のみが居住しています。3人兄弟にはそれぞれ2人の子がいますが,住居が離れているためほとんど交流がありません。
【家族信託のスキーム】
兄弟3人を委託者兼当初受益者,Aさんを社員兼理事長,BCさんを社員兼理事として新たに設立した一般社団法人Xを受託者,各自の子たちを二次受益者とする家族信託契約を締結し,すべての不動産を受託者法人名義に変更し,その後の管理についてはX法人の理事長となるAさんを中心に,重要事項は兄弟で合議して決定することとします。
【家族信託のメリット】
・不動産の名義がX法人に集約され,以後はX法人のみの意思決定で財産管理が可能となります。
・兄弟全員がX法人の社員兼理事として関与しますから,必要に応じて各自の意見を述べることができます。
・各自の次の世代になった際も,相続ではなく家族信託契約による受益権の移動となるので,不動産はX法人が存在する限り共有物とはなりません。
・兄弟各自の判断で,受益権の一部を子に生前贈与することもできます。
・受益者相互間で受益権を売買して,不動産ごとに権利の一本化を図ることができます。